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ちばサイくん > メールマガジン「ちばサイくん」第0号/2001年8月25日 |
ちばサイエンスの会 |
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■2【サイの目】/自由投稿
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2●サイの目● 会員による自由投稿のコーナー |
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『地球温暖化問題』 第1回 「イントロダクション」 |
(文責・田中/「ちばサイ」編集担当)
みなさま始めまして。田中博春です。ちばサイでは、メルマガの原稿書きとホームページの運用を担当することになりました。なにとぞよろしくお願いします。
今年7月、気候変動枠組条約の第6回締約国会議(COP6)がドイツのボンで再会され、先進国間の温室効果ガスの排出量について話し合われたことは記憶に新しいのではないかと思います。1997年に日本の京都で開かれた同条約第3回締約国会議(COP3)で採択された「京都議定書」の批准をめぐり、早期発効を目指すヨーロッパ各国と不参加を表明したアメリカの間で、日本の対応が国際的に注目されました。
地球温暖化問題は、いまや自然科学の問題にとどまらず、社会科学・経済学・国際政治、果ては倫理学や宗教にまで及ぶ人類全体にとっての大問題となりました。その研究や対策のために、最近では、文明誕生以来培われた科学技術の粋が注ぎ込まれるようになり、まさに今後の未来 100年間を見据えた人類の英知が試される局面となってきています。
メールマガジン「ちばサイくん」でも、この地球温暖化問題を取り上げ、連載として深く追求してゆく予定でいます。
今回の第1回は、イントロダクションとして、今後、この連載でどのような話題を取り上げるか、以下にストーリープランを挙げてみました。
● 観測事実としての気温上昇
- 観測時代、約100年間の気温変動
- 都市気温の上昇と温暖化
- 気候復元資料による歴史時代やそれ以前の温暖期
● 地球温暖化のメカニズム
- 温室効果気体について
● 大気大循環モデル(GCM)
- 天気予報の仕組み
- 天気予報から長期変動予測へ
● 大気大循環モデルによる気候変動予測
- 予測結果のグローバルな分布
- 日本はどうなるのか?
● 将来予測のための温室効果気体排出シナリオ
- 4つのシナリオが予測する100年後までの未来
● 政策決定者への提言
- 政策決定者に届く5〜10ページの要約とは?
● 地球温暖化対策
- 国際的対策
- 地方自治体や企業での取り組み
→ 仮想シミュレーション「東京・最悪の一日」- 農業気象と温暖化
→ 二酸化炭素濃度倍増フィールド実験● IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の活動経緯と今後の予定
- 京都議定書は批准されるのか?
● 気象学の幸運
- 気象学の将来予測手法は他分野に応用できるか?
以上の問題は相互に絡み合っていますので、必ずしもこの順番を守るわけでなく、その場の流れに応じて随時変更してゆきたいと思います。また、会員のみなさまからのご意見ご要望もお待ちしています。とくに私は社会科学や政治関係には強くないので、そちらの面からの執筆希望がありましたら、お知らせください。では、また次回に。☆
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→→→→→→→ ★★「サイツェン(再見)」のねらい★★ ←←←←←←←
連載コラムのコーナーです。当面、見本のように編集担当の田中が「地球温暖化問題」、高田が「SETI」ネタを続けてみますので、“大きな物語”がお好きな方は、どしどしご投稿ください。できれば、最初に大まかな全体計画をお知らせくださると助かります。
5●トリケラトプス● 特集記事のコーナー |
■ 『16日の木星食と関東平野にかかる東風の低い雲』 |
(文責・田中/「ちばサイ」編集担当)
さて、先日話題になった「木星食」。みなさんは、ご覧になれましたか? 千葉はあいにく曇り空のところが多かったようで、市内みつわ台に住む高田さんも「千葉曇ってたので、そうそうに寝ちゃったよー」と言ってました。
で、ワタシはというと、天文雑誌『星ナビ』などを発行しているアストロアーツのスタッフのお供として、木星食のインターネット中継のお手伝いをしてきました。下っ端のワタシの役目は荷物持ち。さらに、大学で気象学・気候学を専攻していることから、天気予報をセヨということでした。ハナから関東地方は曇ることがわかっていたので、行くなら西ですよ、九州ですよ、飛行機で行きましょう! と畳み掛けてみたのですが、中継班からは「荷物重いから、車で行ける範囲内でなるべく近場ね」、というそっけない返事。それならということで、ウーンと考えてみました。考えた内容は以下の通り。
天気図を見ると日本の北に高気圧があります。高気圧が北に偏ると関東地方は東よりの風になることが多いのです。この東風は低い雲を運んできます。夏なのにどんよりとして肌寒いときというのは、たいていこの東風の雲に覆われているときです。今年、7月中旬から下旬にかけてはあんなに暑かったのに、8月に入ってからはそれほど暑い日が続かないですよね。その理由も、高気圧が北に偏る日が多く、冷たい東よりの風が入り続けたことにあります。
そして、この東風による雲は背が低く、関東平野の山々よりもその高さが低いという特徴があります。ひまわりの可視画像を見ると、この雲が山でブロックされて、ちょうど関東平野の形に沿って雲が出ているのを見ることができます。下はその例。
2001年8月3日12時の気象衛星ひまわりによる可視画像
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/sat/japan.vis/2001/08/03/jp.01080312.jpg
高知大学気象情報頁‐研究・教育のための書庫より
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
これに対して、今回の木星食の翌朝8時の雲のようすは以下の通り。木星食があった、この日の3時台も基本的にこれと似たような雲の分布だったのでしょう。
2001年8月16日8時の気象衛星ひまわりによる可視画像
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/sat/japan.vis/2001/08/16/jp.01081608.jpg
ほらほら、このときも、この東よりの風による低い雲が、関東平野にかかっていますよね。千葉もこの雲のせいで木星食が見えなかったわけです。今回はこの雲はさらに強力(?)で、北海道から関東地方までの太平洋沿岸と紀伊半島の東から名古屋にかけてまで広がっているのがわかります。もっとすごいときには、室戸岬の東や宮崎平野にまでかかっているときもあります。そういう場所は、いずれも東風をブロックする山地のある場所の手前になります。
なので、こういう時は、この東風が届かない関東平野を取り囲む山地の向こう側に抜けてしまえばよいのです。結局、中継班は、関越道を北に上ったあと新潟県内と富山方面に分かれ、中継は越後川口のSAと新湊市の海王丸パークの2か所から行ないました。遠くまで出かけた甲斐があって、天気は晴れ。中継も大成功でした。会員の方の中にも木星食のインターネット中継をリアルタイムでご覧になられた方がいたかもしれません。☆
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●「使える!」各種リンク集・第1回 |
今回は特集関連で、8月16日未明にあった「木星食」のリンク集を取り上げることにしました。
上の記事に書いたように、木星食の時間には関東地方は低い雲に覆われて千葉では見ることのできなかったところが多かったようです。しかし、千葉県でも鴨川市から木星食が見えたとの報告が来ています。これは、とてもラッキーで、わずかに開いた雲の隙間が、木星食の時間にうまい具合に巡ってきたのでしょう。ほかにも千葉で見た方はいるでしょうか? ということで、見えた方も見えなかった方も、日本の夜間では57年ぶりに見えた「木星食」の観測報告と、月に隠される木星の映像をパソコン上で、お楽しみください。☆(田中)
★インパクぐんまパビリオン「星空と宇宙」
http://www.gunma-inpaku.com/index-j.html
木星食ダイジェストムービー
http://www.inpaku.go.jp/gunma/ocjup/index.html
8月16日早朝に行なわれた木星食のインターネットライブ中継を再放送。1時間20分間の木星食の中継の中からハイライトシーンを編集し、約3分間のビデオクリップとしてみることができます。
★美星天文台
http://www.town.bisei.okayama.jp/bao/index.html
木星食こっそり中継のページ
http://www.town.bisei.okayama.jp/bao/event/jupiter.html
岡山県小田郡美星町にある美星天文台も木星食をこっそり中継していました。木星の潜入・出現のハイライトムービーは、臨場感たっぷり。美星天文台の誇る口径101cm
の反射望遠鏡の威力をまざまざと見せつけられます。木星食を見られなかった方は、ぜひともここで木星が月に「沈んでゆく」雰囲気を味わってください。
★NHK
http://www.nhk.or.jp/
ニュース「木星食」を観測
http://www.nhk.or.jp/news/2001/08/16/grri8400000067tv.html#
木星食の終了後、朝に流れたNHK
ニュースをそのままビデオクリップとしてインターネットでも公開。伊豆諸島の御蔵島に設置したカメラで捉えた木星食を見ることができます。さすがNHK
。短時間によくまとめているなあという感じです。
★月世界への招待
http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckabp800/
8月16日未明の木星食
http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckabp800/mokuseisyoku/index.htm
大阪の東田守生さんの個人ページ。東田さんは月の写真で、天文雑誌『スカイウオッチャー』フォトコンテスト20点を獲得。今回の木星食の写真もそのクオリティの高さが光ります。
★星みに いこてば
http://village.infoweb.ne.jp/~noriyuki/
木星食画像集
http://village.infoweb.ne.jp/~noriyuki/koramu50.htm
新潟県立自然科学館の伊藤紀幸さんの個人ページ。今回の木星食は秋田−新潟−富山方面ではよく見えたようです。伊藤さんのページは木星食を観測したときの感動がよく伝わってくるページです。
★高校生天体観測ネットワーク
http://www.astro-hs.net/jp/index.html
木星食−速報!
http://www.astro-hs.net/jp/guide/sokuhou.html
1998年のしし座流星群の観測からはじまった「高校生天体観測ネットワーク」今年は木星食まで手を広げ、観測マニュアルを作って共同観測に臨みました。ちばサイには学校関係者の方が多いとのこと。ぜひ参考にしてみてください。
★アストロアーツ
http://www.astroarts.co.jp/index-j.html
アストロアーツではニュースを中心に今回の木星食をフォロー。観測ガイドから木星食のシミュレーション・観測報告まで様々な情報を掲載しました。ワタシ田中はアストロアーツでニュース作成を担当しており、以下のニュースもワタシが作成しました。でも、よくみると誤字脱字やリンク切れがあったりしてお恥ずかしい限り・・・(はやく直すように:高田)。
木星食の観測報告写真集
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/08/17jupterphoto/index-j.shtml
インパクぐんまパビリオンにて木星食ライブ中継を再放送
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/08/17jupterlive/index-j.shtml
木星食の観測速報
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/08/16jupterecli/index-j.shtml
木星食を楽しもう!リンク集
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/08/15jupitereclilink/index-j.shtml
今晩明け方に57年ぶり木星食ぐんまパビリオンにてライブ中継も
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/08/15jupitereclilive/index-j.shtml
8月16日の木星食 (NAO ニュース)
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/07/26nao461/index-j.shtml
ステラプレーヤーアニメサンプル:『2001.8.16.木星食』
http://www.astroarts.co.jp/products/stlplay/sample/0816jecl-j.html
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特集的な位置付けのコーナーです。今回は、木星食に因んだ気象の話題をリンク集とともに取り上げてみました。このような本格的ウンチク系の記事のほかに、何か科学的に大きな現象の観測・観望情報とか、あるいは会の行事の報告とか、比較的ボリュームのある内容の記事を載せていこうと思います。
で、言い忘れましたが、各コーナーの名前は、当会の略称「ちばサイ」のサイに因んだ名前にしてみました。で、会のマークは、動物のサイ(犀)を象ったものにしようと思います。千葉市恒例の火星ローバーコンテストのシンボルが「ロバ(驢馬)」なので、このサイ、会関連の事業には、みんな動物の名前つけちゃうと面白いかも!?(オイオイ)
この特集コーナーの「トリケラトプス」は、言わずとしれた白亜紀の角竜の最大のもので、サイの角の大きいヤツという安直な発想でつけました。今後、的川会長の「怪鳥プテラノドン」のコーナーも始まる(と思う^^;)ので、よろしくお願いします。
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