WEB ちばサイくん
メールマガジン「ちばサイくん」第11号
/2001年11月25日

ちばサイエンスの会

 

●INDEX●

 

■2【サイの目/自由投稿

■5【トリケラトプス/特集

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2●サイの目●

会員による自由投稿のコーナー

 
■ 「ハシモトのインチキ科学コーナー その7」
 

(文責・橋本悦夫/船橋市総合教育センタープラネタリウム館)

 

 ネット環境下にない友人がこのコーナーの原稿を読んでいます。彼が言うには「その1は良かったが、最近のは全然インチキっぽくない」とのこと。「もっと似非科学っぽくやれ」とのことです。さて、どうしたものか・・・・

 しし座流星群は大当たりで、皆さんあちらこちらで観測できて良かったですね。私は寝て(熟睡)いました。よって見ていません。ここひと月ばかり、多忙に多忙を重ね、半死人状態だったのです。今も。

 で、16日・17日頃に流星群の問い合わせが集中しました。「そちらの館ではイベントをしないのですか。せっかく大きな望遠鏡があるのに流れ星を見せてくれないの?」に始まり、「プラネタリウム館では、しし座流星群を見せてくれますの?」

 またか。3年前もそうだった。マスメディアが騒ぐときにはいいことがない。『うちのプラネタリウム館では、1時間に1万個なんてもんじゃありません。数万個の流れ星が見られます。』

 相手はびっくり。世間話も交えて話をしているうち、プラネタリウム館のは機械でやっているんだ、と気がついた様子。さらに、多くの流れ星を見るには郊外に出なければならない。と悟った様子で、一件落着。「寝ないで頑張って(流れ星を)見てみます」と言っておられました。

 流星群投映機の原板にちょっと手を加えると、ZHR十数万個に相当する流星が映せるのです。日にちや時刻に関係なく、寒い思いもせず暖かい室内で十万個の流れ星が見られたら、これはいいんじゃないでしょうかね。実天よりもすごいことができるのです。

 世の中、偽物時代。バッグ、時計、etc・・・・流れ星も。偽物のバッグと言えば質○○品が多いとか・・・・。では○○には何が入るでしょうか。☆

◆前回の答え
 「隕石」(引責辞任)

 

 
▼△▼ 船橋市総合教育センタープラネタリウム館の冬番組 ▼△▼
 「宇宙人っているの?」
  ⇒12月2日(日)投映開始です!
 

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5●トリケラトプス●

特集記事のコーナー

 
■ しし座流星群気象特集「確実にしし座流星群を“見る”には?」Part-8
 

(文責・田中博春/「ちばサイ」編集担当)

◆ Part-8 しし座流星群極大日の天気はこうだった(その2)
− しし座流星群極大日の天気、結果報告 −

 

 今回のしし座流星群、本当に夢のような一夜でしたね。天文ファンなら誰もが夢見た“星が降る夜”。本当にやってきてくれました。嬉しいかぎりです。

 天気のほうは、残念ながら日本海側では朝まで雲が残った地域があったようですが、太平洋側では多くの地域で晴れ、大勢の方が流星を見ることができたようです。今回の天気は、太平洋側ならまず晴れそう、どこに行ってもまずOK状態でしたので、多くの方は自宅の近くや、いつも星を見に行っている場所に出かけたようです。

 下は、2001年11月19日朝3時の雲画像(赤外画像)

●東京大学生産技術研究所 - 高木研究室 - Satellite Image Archive for Network
http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/SatIAN/Welcome-J.html
GMS(ひまわり)からの画像 - 過去のクイックルック画像 - 2001 - November 2001 - Nov 19 2001 3:00AM (JST)
http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/download/cgi-bin/nph-gms-info.pl?-n+GMS501111818

 同じく下は、2001年11月19日朝8時の雲画像(可視画像)

●高知大学 - 高知大学気象情報頁
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
日本付近(極東域)の画像・可視画像 - 研究と教育のための保存書庫 - 日本の可視画像 - 2001 - 11 - 19 - jp.01111908.jpg
http://weather.is.kochi-u.ac.jp/sat/japan.vis/2001/11/19/jp.01111908.jpg

 天気のほうは、弱い冬型から移動性高気圧に移り変わるころに、しし群の夜がきました。雲の分布は、「Part-3 気圧配置と晴天域の関係」に書きました、「3-2.冬型の気圧配置になった場合」に近い形です。ただ、冬型はそれほど強くなく、雲に隙間もあったようですので、日本海側でも一晩中空を見ていれば、数は少ないものの流星を見ることはできたことでしょう。今回のしし座流星群は火球クラスの明るいものもたくさん流れましたので、少しくらい薄い雲があっても、それを透かして見ることができたのではないかと思います。

 反面、太平洋側でも青森・福島・千葉・神奈川・静岡などで雲がかかった地域があったようです。福島に出かけた高田さんからは、今曇ってるけど、どこに動けばいい? と電話が入りました。富士山も夜半前には雲がかかっていたようです。幸い車で出かけた方々は、事前に雲の動きを読み移動できたようで、3時台のピークのころには晴天域に達したもようです。

 今回のしし座流星群が数多く見られた日の天気分布は、以下のとおりでした。

●17〜18日の夜:
 地域 | 太平洋側 | 日本海側 | 解説
-------------------------------------------------------------
北日本 |  晴れ  |  曇り  | 弱い冬型により、全国的に太
東日本 |  晴れ  |  曇り  | 平洋側で晴天、日本海側で曇
西日本 |  晴れ  |  曇り  | 天。北関東の山岳部も曇天。
南西諸島|     晴れ     |

●18〜19日の夜:
 地域 | 太平洋側 | 日本海側 | 解説
-------------------------------------------------------------
北日本 |  晴れ  |  曇り  | 青森・福島では太平洋側でも雲り
東日本 |  晴れ  |  曇り  | 千葉・神奈川・静岡でも曇りだったが
西日本 |  晴れ  |  曇り  | それ以外の地域では、ほぼ太平洋側で
南西諸島|     晴れ     | 晴天、日本海側で曇天であったもよう

 今回のしし座流星群の日の天気を「Part-5 しし群の日の天気「実践編」」風にまとめてみますと、以下のとおりになります。

● 2週間前

 「1ヶ月予報」から、平年より晴天日数が多くやや寒い予報が出ていました。これは、11月後半は冬型の気圧配置の日が多くなりそうとの予想されていたことによります。これはだいたい当たっていて、実際に太平洋側では晴天の日が多くなりました。

● 1週間前

 1週間前から3日前までは、しし座流星群の極大日の直前まで弱い冬型が続くとの予想が続いていました。肝心の11月19日には、高気圧または等圧線が閉じない高圧部が北に偏って張り出す予報でした。これも大まかには当たっていました。大陸から張り出した高圧部は、19日の日中には移動性高気圧となって、その中心が北日本へと進んだのですが、夜が明ける前までは、その効果は弱く、むしろ弱い冬型に近い雲の分布となりました。

● 2日前

 予想通りの弱い冬型が続いてきました。2日前にはそれまでの北日本の太平洋側のみ晴天の予想が一転して、全国的に晴れそうな見込みになりました。実際には、このときの予報どおりまでには好転せず、日本海側では雲が残ったところも多かったようです。

● 1日前

 再び予報は後退して、3日前の予報と同程度になってしまいました。行く先を太平洋側に想定して、翌日に備えました。この日の天気予報はどれを見てもしし座流星群の天気に触れていて、社会的にも関心が高まっていることを感じました。

● しし座流星群極大日

 朝7時前の天気予報では、再度予報が好転し、移動性高気圧に覆われる見込みに。太平洋側なら、ここはどこへいってもしし座流星群を見れそうな状態になってきました。13時前の天気予報でそれを再度確認。観測地は、同行してくださった方がよく行かれている木曾御岳に決定しました。しかし、しし座流星群気象情報の直前予報記事を書いていたために、出発がかなり遅れてしまいます。結局、日が暮れるころに出発したのでした。

 今回は北まわりで行きました。関越道、上信越道と行く間はやや雲のあるものの、ずっと晴天。長野道に入り姥捨のサービスエリアに入り19時前の天気予報を見た後、モバイルPCでの気象サイトめぐりをして、途中の山岳域では雲があるものの、塩尻や木曽福島以西は晴天であることを確認。いろいろな方から天気の問い合わせが入ったのもこのころでした。予想通りの天気の推移をしながら、22時前に御岳山に到着。車を降りてみると満天の星空。天の川がよく見える最微等級6等の空です。22時台は、たまにおうし座流星群が流れる程度の静けさ。それが、23時を過ぎると、長大経路の明るい火球が何本も空を横断するようになりました。「しし座流星群の夜」の幕開けです。その後はみなさんもご存知のとおり、1分間に100個を超える数え切れないほどの流星を、まさに「浴びる」ことができたのでした。

 最微等級6等、一晩中全天快晴の御岳の空で見ていた印象をいくつか。ピークは数字で出ているほど鋭くなく、2時過ぎから4時30分ごろまで、なだらかに続いていたようにみえました。ストロボを焚いたように光る火球が何度もあり、流星痕がいくつも同時に空のあちこちで見えていました。空の透明度がよく、地平線近くの流星が遠くまで見えたので、寝転んで天頂や放射点付近を見るより、立ち上がって地平線近くを見たほうが、数多くの流星を見ることができたのが意外でした。放射点の反対側の空をみていると、流星がまた一点に収束するかのように、すぼまって見えたことや、日が昇りかけて、空が真っ青になっても、まだいくつも明るい流星がみえたことなどが印象的でした。

 以上で、今回の特集を終わりたいと思います。連載途中にも、何度かいただきましたが、何か思うところがありましたら、ご意見ご感想をお寄せいただければと思います。ともかく、待ちに待った流星雨を多くの方が見ることができ、本当によかったですね。天気の予想のしがいもありました。それでは。

<参考>

●アストロアーツ > 星ナビ.com
http://www.hoshinavi.com/
特集しし座流星群2001 > しし座流星群気象情報
http://www.astroarts.co.jp/special/leo2001/weather/index-j.html

 

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 特集的な位置付けのコーナーです。読みきりの本格的ウンチク系の記事のほかに、何か科学的に大きな現象の観測・観望情報とか、あるいは会の行事の報告とか、比較的ボリュームのある内容の記事を載せていこうと思います。

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